第52話    鶴岡の撒き餌「ヨコトビ」   平成17年04月03日  

その昔鶴岡では撒き餌と云うとヨコトビと云われた時代があった。それまでは魚を寄せるに小エビが使われていたが、昭和の初めの頃鶴岡の旧三日町の三田村床屋の親父さんが、ヨコトビを使って大いに戦果を上げたことが評判になって広まったことがきっかけであるそうだ。

その当時鶴岡の市内を流れる赤川の支流の内川もきれいで簡単に捕れた。取り方はわらで編んだ米俵に大根の葉を沢山入れて川に一晩漬けておくだけで三升から四升くらいは難なく取れたものだと云う。その後旧七日町の次郎ちゃと云う魚屋さんが撒き餌として販売した。価格は小エビより安くて魚が集まると一般化した。それで撒き餌といえばヨコトビと云われる位に大衆化したものである。

鶴岡でヨコトビと云われる物は、学名では甲殻類の端脚目. ヨコエビ科ヨコエビと云われる物で、淡水にも海水にも棲んでいる。体の色は褐色で平べったくきれいな川底や水草の根の付近に棲んでおり最大で12ミリくらいの生物である。代表的なものはニホンヨコエビで一番大きい。大きさ1センチもあるので餌にも使用できる。昭和50年の頃市内に流れる内川も農薬と家庭内の排水でさっぱり捕れなくなった。現在では水のきれいな所に棲む小さな沢ヨコエビが居る位である。

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年代の後半に仙台よりイサダ釣りが流行し始め、ヨコトビを使う人が捕れなくなって来たこともあって一気に減少した。活きたままの撒き餌を使う釣り方は同じでも、海に棲むイサダは動きが活発で万能の撒き餌と云われ現在でも使われている。